虚血性心疾患とは心臓(心筋)への血液の供給が不足することにより引き起こされる病気です。代表選手として心筋梗塞や狭心症があります。日本人3大死因の一つは心疾患ですが、その多くに虚血性心疾患が関与しており問題となっております。
心臓は血液を全身に送り出し、非常に血液(酸素や栄養)をたくさん必要とする臓器ですが、心臓の内側の血液から直接酸素や栄養分をもらっているわけではありません。心臓の表面を走る3本の血管から酸素や栄養分をもらっているのです。これらの血管を冠(状)動脈といいます。
前述のごとく、心臓は非常に血液(酸素や栄養分)をたくさん必要とする臓器ですが、その割に冠動脈はあまり大きな血管ではありません。太いところでも3~5mm程度の内腔しかなく、この血管に動脈硬化(脂肪の付着など)が起こると、容易に狭窄、あるいは閉塞を起こしてしまいます。狭窄であれば狭心症を、閉塞であれば心筋梗塞を引き起こすのです。また、危険因子(病気になりやすい体質)として高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙・肥満・精神的ストレスなどが言われています。複数当てはまる方は特に注意が必要です。
虚血性心疾患の治療は大きく3つに分けることができます。
そのままの意味で、内服薬を中心とした薬による治療です。
カテーテル治療のこと、いわゆる風船治療などと言われるものです。風船で狭窄または閉塞した血管を広げます。その後、再閉塞を防ぐためステント(金属のコイル)を追加する場合が多いです。通常開胸は不要です。
バイパス手術のことです。狭窄または閉塞した血管の前後に他の血管を外科的に縫いつけ、バイパスを作ります。程度の大小はありますが、開胸が必要です。
病態や重症度に応じ上記治療を選ぶわけですが、現在の日本の医療においてはPCIが適応となる症例が多いと思われます。
いくつかある
PCIの長所のうち、ある程度の治療効果を得るまでの時間が短くてすむというものがあります。特に急性心筋梗塞の場合は、早く治療すればするほど心臓の筋肉をたくさん救うことができ、予後が大きく変わってきます。治療開始までの時間が早いことは大変重要です。
当院では病態、合併症などにより、あえて治療の開始時間を遅らせる場合を除き、迅速にカテーテル治療が行える体制をとっております。ほとんどの場合、患者様の到着より30分以内に治療が開始できます。
治療も重要ですが、予防が最も重要であることに間違いありません。健康診断等で虚血性心疾患の危険因子を指摘された方は、最寄りの医療機関に相談され、しっかりコントロールされますようお勧めいたします。
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