■リウマチ外来を開設しました
2025年4月からリウマチ外来を開設いたしました。
リウマチ外来では週1回、月曜日の午後にリウマチの診療や一般的な内科の診療を行っています。
リウマチについて、対談形式で診察を行っている医師が解説しておりますので、ご参考にしていただけたらと思います。
医師 脇 大輔
リウマチ科 診察日 :月曜日 受付時間:13:30~16:30
ナス美 津山第一病院 キャラナース
先生、リウマチとはどんな病気なんでしょうか?年をとって、手や膝が痛くなって、変形していくというイメージがありますが、若い人にもリウマチで通院されている患者さんがいらっしゃいますよね。
脇 大輔 医師
リウマチは、関節の間にある滑膜(かつまく)というところが炎症を起こして腫れて痛む病気です。その状態をずっと放置していると、だんだん骨が溶けて、骨(こつ)びらん(ただれ)というものができたり、その周りにある腱などの組織が変性したり切れたりして、指などの関節が曲がってしまう病気ですね。
いろんな原因が組み合わさって起きると言われていますが、一つは遺伝的なもので、これは必ず遺伝するわけではないですが、ご両親とかご親戚でリウマチの方がいらっしゃる場合は、比較的リウマチになりやすいと言われています。そういう方は関節が痛み出したら早めに病院に来て、一度リウマチの検査を受けられたらいいと思いますね その他の原因としては、歯周病や腸内細菌叢(腸内フローラ)などが、病気の発症と関連していると言われています。ですが、実際にどの程度関与しているかは、まだわかってないですね。 あとはタバコ。これは明確にリウマチになりやすくなる抗体を作ってしまう原因になります。詳しい説明となると、とても難しい話になりますが、でも、タバコを吸う人はリウマチの発症リスクが高くなります。色々ありますが、こうした複合的な要素で発症すると言われています。
ナス美
ありがとうございます。では年齢に関係なく、症状や遺伝的な素因がれば、リウマチを疑って受診した方が良いということですね。でも、タバコや歯周病からリウマチって、なかなか結びつきませんよね。腸内細菌なんてわからないし。
脇 大輔
そうですね。でも、実際にはなかなか気づけないですよね。それに、リウマチは遺伝すると言われていますが、ご両親やご家族は抗体を持っていただけで発症してないこともあります。そうした場合だと、ご自身で気づくのは難しいです。逆にご家族にリウマチの方がいないから、大丈夫とも言えません。私の診ている患者さんは、ご家族の誰もリウマチではないという方が多いです。
ナス美
当院の患者さんの中には、「辛い症状が続くのに、どこの病院に行っても異常は無いと言われて、病院のハシゴ(ドクターショッピング)をしてきた。医者から見捨てられたよう気持ちになった」、「リウマチとわかったときは、安堵して涙がでそうになった」と、診断までに時間がかかった方がいらっしゃいます。リウマチは、大きな病院でないと検査ができないのでしょうか。
脇 大輔
そんな事はありません。リウマチの抗体検査は、ほとんどの診療所やクリニックで受けることができます。ただ、リウマチの患者さん全体でも、その抗体が陽性となる方は4割~5割程度しかいないんです。そのため抗体検査が陰性のリウマチは、専門のトレーニングを受けてない医師だと、診断するのが難しいかもしれません。
ナス美
なるほど。検査で陰性と出たら、リウマチではなかったと判断してしまいそうですよね。
脇 大輔
そうですね。だから抗体検査で陽性と出た患者さんは、早く診断がついて専門医に紹介されるのですが、検査が陰性となったリウマチ患者さんの場合は、診断がつかないまま、というケースが多くあります。「この検査をすれば診断がつく」というわかりやすいものがないのと、検査が陰性でもリウマチではないと言い切れないところが難しいですよね。
ナス美
検査結果だけを鵜呑みにしてはいけないということですね。じゃあ、やっぱり手が痛いなどの症状から、リウマチを疑ってかかるしかないという感じでしょうか。
脇 大輔
そうですね。よくある症状としてはまず朝、手がこわばるようになるんですよ。朝、手がこわばること自体は寒かったら誰でもなりますが、30分、1時間経ってもなかなかこわばりが取れなくて、昼ぐらいになったら問題なく動くようになるというのは、リウマチの典型的な初期症状です。
これは、一般の方でもわかりやすい症状だと思います。あとは、指が腫れて、でも数日で引っ込んでしまう。それを繰り返している間にだんだん引かなくなってくる、というのも、やはりリウマチのことが多いですね。
ナス美
それならナス美でも判断つくと思います。わかりやすいです。
脇 大輔
早期に見つけてあげることは、治療の重要なポイントでもあります。なぜかというと、早く治療した方が薬の効きが良いんです。同じ薬を使った場合でも、早い方が効果的です。関節が変形してしまうと、基本的には手術になりますが、元通りにはなりませんし、薬には変形を戻す効果はありません。そうなる前に、できるだけ早く治療を開始するのが望ましいです。抗リウマチ薬という、関節の変形を予防するお薬です。早期に治療を開始できると、結果、痛みも早く取れて生活への影響も少なくなります。
ナス美
リウマチの診断が遅れると、関節の変形が進んで、患者さんの人生が変わってくるということですね。診断をつけるのが難しい上に、治療が遅れると取り返しがつかない。先生のお話を伺えば伺うほど、リウマチの疑いがあると思ったら、迷っていないで専門の先生のところに行くべきだと思いました。
先生、リウマチについてわかりやすいお話をありがとうございました。最後にリウマチ治療中の患者さんに一言、アドバイスをお願いします。
脇 大輔
リウマチの治療薬はここ20年ぐらいで、すごく効果のある薬がたくさん出ており、治療の選択肢が広がってきています。なので、一つ二つの治療薬を試して合わなかったからもうダメだというわけではなく、十種類以上ある薬の中から、体に合うものを見つけていく。そういう治療ができる病気になってきました。 ただ、抗リウマチ薬は使い方が難しく、専門的な修練を積んだ医師でないと処方しにくいものもあります。県北にはリウマチの専門医が少ないですが、ご自身の体に合う薬を見つけてもらえる医師に早く出会って、治療を受けていただくのが良いと思います。
ナス美
専門医が増えると、それだけ良い治療を受けられる患者さんが増えますね。 先生、今後ともよろしくお願いいたします。
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